絵本「にぐるまひいて」

私の本棚

「にぐるまひいて」文ドナルド・ホール 絵バーバラ・クーニー
ほるぷ出版 1980年10月15日第一版

私の大好きな本です。子ども達も大好きで、好きすぎてクレヨンでなぞり書きしてしまったため、我が家には「にぐるまひいて 」が2冊あります。

お話のあらすじ

10月、木の葉が黄色く色づく頃、お父さんが荷車の用意をするところからお話が始まります。
荷車に載せるものは、この一年間家族みんなで作ったもの。
リンゴやキャベツ・ジャガイモに、ガチョウの羽と羊の毛。カエデの砂糖に、子ども達手作りの箒や手袋なども詰め込んでいきます。

荷をいっぱいにして、お父さんは一人、牛と一緒に荷車を引いて出掛けます。行き先は、遠くの大きな市場まで。着いた市場でたくさん売って(気持ち良いほど売りまして)家族に必要なものを必要な分だけ買って帰ってくるお父さん。そして、また次の一年が始まります。

誰もが自然と共に生活をしていた、古き良き時代。
夫婦と2人の子ども達4人家族の一年を淡々と描いたお話です。

何といっても、クーニーさんの絵が魅力的

この本に出会ったのは、横浜で暮らしていた20代の頃。
豊かな自然とその中で生活する一家を描いたクーニーさんの絵に、一目惚れして購入した覚えがあります。

私がバーバラ・クーニーさんを知るきっかけとなった、記念すべき本です。クーニーさんは、100冊近い絵本を手がけています。


私のお気に入りの場面は、お父さんが市場に行く時と帰ってくるときに描かれる道のりの遠景です。日が暮れていく様子など、なぜかはわかりませんが懐かしさがこみ上げてきます。

うちの子に読み聞かせしていた時は、出来上がったものを荷車に詰め込む様子を、いつも満足そうな顔で見ていましたっけ。「さぁ、売るぞ」という明るい熱気が伝わるのかもしれません。荷車に入れたリンゴや砂糖を味見ごっこして、「美味しくできたね」と楽しんでいましたねぇ。

自分たちの手を使って生活していく一家の一年の様子を、クーニーさんが丹念に描き出しています。また、シンプルに語られるお話の端々に感じられる「家族の繋がり」も素敵です。
読むときに、新鮮に味わっていただきたいので多くは語りませんが、一年が繰り返されることの醍醐味を感じます。言いたいけど、がまん、がまん!

読んだ後、自分の周りにも、ゆっくりとした時間が流れていることに気が付ける本です。
そして、自分の手で必要なものを作り出せる強さも感じます。
少しでも、そうありたい…って思うんですよねぇ。

ぜひ、この家族の営みを、手に取って味わってみて欲しいなぁと思います。
私の永久保存版蔵書の一冊です。


全部ひらがなで書かれています(漢字にはルビが振ってあります。)ので、小さいお子さんから読めると思います。お父さんや、お母さんのお膝の上で読んでもらうのもいいですね。

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